地域医療構想データ分析
DPCで自院のポジションを地図で見る方法

最終更新日:2026/01/26

地域医療構想データ分析 DPCで自院のポジションを地図で見る方法
目次

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  • 地域医療構想の調整会議が始まるが、何を根拠に自院の役割を主張すればよいのか…
  • 将来の医療需要に対応するため、自院の「立ち位置」を客観的に把握したい

病院経営企画室や地域連携室の皆様は今、まさにこの課題に直面しているのではないでしょうか。

2040年を見据えた「新たな地域医療構想」では、各医療機関の「機能分化と連携」がこれまで以上に厳しく問われます。もはや、経験と勘だけで「自院は急性期を担う」と主張できる時代ではありません。

では、どうすれば自院のポジションを客観的に示し、院内の意思決定や地域の調整会議をリードできるのでしょうか?

その答えは、皆様の病院に既に存在する「DPCデータ」と「地図」を組み合わせたデータ分析にあります。

なぜ「地域医療構想」にデータ分析が必須なのか?

地域医療構想の核心は、「地域の医療需要」と「医療供給(=リソース)」のバランスを取ることにあります。その議論の場で「客観的なデータ」がなければ、地域の関係者(他病院、行政、医師会など)を納得させることはできません。

学会の講演でも、地域の医療提供体制を議論するために「GIS(地理情報システム)を用いた患者商圏の分析」や「患者流入率・シェアの分析」の重要性が繰り返し強調されています。

自院の役割を主張し、持続可能な病院経営を実現するためには、まず「データで自院の現在地を知る」ことがスタートラインとなります。

分析すべきは「DPCデータ」の患者流入とシェア

客観的な分析というと難しく聞こえますが、その元データは皆様の病院にすでに存在します。それが「DPCデータ」です。

特に重要なのが、DPCの「様式1」に含まれる「患者さんの住所地(郵便番号)」の情報です。この「郵便番号」を使うことで、2つの強力な分析が可能になります。

  • 患者流入分析

    どの地域(市町村・郵便番号)から、何人の患者さんが来院しているか?

  • 患者シェア分析

    ある地域(例:A町)の全患者さんのうち、何%が自院に来院しているか?

課題 Excelの「郵便番号リスト」では議論ができない

多くの場合、この分析はExcelでの集計にとどまりがちです。しかし、Excelで出力された膨大な郵便番号のリストを見て、直感的に「どのエリアが弱いか」を把握できるでしょうか?

  • 「A市からの患者数は100人、B町からは50人」という数字だけでは、それが「多い」のか「少ない」のか判断できません。
  • 「競合のC病院は、どのエリアから患者を集めているのか」という比較ができません。

結果として、データが「報告書」で終わってしまい、次の戦略的なアクションにつながらないのです。

解決策「地図(GIS)」でデータを可視化し、ポジションを明確にする

この課題を解決する唯一の方法が、集計結果を「地図(GIS)」の上に可視化することです。数字の羅列だった郵便番号データが、戦略的な意味を持つ「情報」に変わります。

メリット1 自院の「商圏」と「穴」が一目瞭然になる

DPCデータの郵便番号を地図上にマッピングし、患者数に応じて色分け(ヒートマップ化)するだけで、自院の「勢力圏(商圏)」と、連携が手薄な「穴(空白地帯)」が浮かび上がります。

地図で可視化して初めてわかること

  • 強み

    〇〇地区は、距離が離れているにもかかわらず多くの患者さんが来院している(=自院の特定の診療科が強く支持されている)。

  • 弱み

    病院のすぐ隣の△△地区は、なぜか患者さんの流入が少ない(=競合病院にシェアを奪われている、あるいは連携が取れていない)。

メリット2 客観的な「SWOT分析」が可能になる

学会の講演でも、自院のポジションを把握する手法として「SWOT分析」が紹介されていました。これは、地図上でDPCデータと外部データを掛け合わせることで、より高い精度で実行できます。

  • 強み(Strength)

    治療実績が高く、地域シェアも高いエリア

  • 弱み(Weakness)

    治療実績が低く、地域シェアも低いエリア

  • 機会(Opportunity)

    現在のシェアは低いが、今後高齢者人口が急増するエリア

  • 脅威(Threat)

    自院のシェアは高いが、競合病院が新規進出してきたエリア

一歩進んだ分析 地域の「統計データ」と重ねて戦略を立てる

地図による可視化の真価は、自院のDPCデータ(内部データ)と、地域の「統計データ」(外部データ)を重ね合わせることで発揮されます。「なぜ、あのエリアからは患者さんが来ないのか?」その答えは、地域の特性にあるかもしれません。

  • 例1『高齢化率』と重ねる

    分析結果: 「自院の患者シェアが低いA地区」と「地域の高齢者人口データ」を重ねたところ、A地区は今後5年で高齢者人口が30%増加する「重要エリア」だと判明。
    次の戦略: 地域連携室の訪問先としてA地区の優先度を上げ、開業医との連携を強化する。

  • 例2『医師偏在』『競合』と重ねる

    分析結果: 「自院のシェアが高いB地区」は、そもそも「競合病院やクリニックが少ない」ために自院が医療を支えている「医療資源の空白地帯」だと判明。
    次の戦略: 地域医療構想の調整会議でこの地図データを提示し、「当院がこの地域の急性期医療・救急医療から撤退した場合、これだけの患者さんが行き場を失う」という客観的な根拠として主張する。

まとめ 客観的な「地図」が地域医療構想の議論を動かす

「地域医療構想」への対応は、単なるスローガンでは進みません。必要なのは、「自院のDPCデータ(郵便番号)」を「地域の統計データ(人口、競合)」と掛け合わせ、「地図(GIS)」という誰の目にも明らかな形に可視化した、客観的な戦略資料です。

このデータに基づいた資料こそが、院内の意思決定を早め、地域の調整会議での議論をリードするための最も強力な武器となります。

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