DPCデータの「郵便番号」分析患者流入を地図で可視化するテクニック
最終更新日:2026/01/26
目次
- DPCデータ(様式1)のCSVを開き、郵便番号の列を見てそっと閉じた…
- 患者さんの住所データを集計しろと言われたが、Excelでのピボット集計が限界だ…
診療情報管理室や経営企画室でデータ分析を担当する方なら、一度はこんな経験があるかもしれません。
DPCデータは、QI(医療の質)の算出や在院日数の分析には広く使われています。しかし、そのデータ(様式1)に含まれる「患者住所(郵便番号)」は、その真の価値を半分も引き出されていない、まさに“宝の山”です。
この記事では、なぜ郵便番号が「宝」なのか、そしてその宝を掘り出す(=分析する)ための具体的なテクニックと、分析を成功させるために不可欠な「道具」について解説します。
なぜ「郵便番号」が“宝の山”なのか?
答えはシンプルです。「医療(=自院の診療実績)」と「地理(=エリア)」を結びつける、唯一のキー情報だからです。
郵便番号が分析できれば、以下のような「Excelの集計表では絶対に見えない」経営課題が浮かび上がります。
- あのクリニックからの紹介患者は、本当に近隣から来ているのか?
- 競合病院が新設されたエリアで、自院の患者数はどれくらい減ったのか?
- 救急車の受け入れ要請が多いエリアは、そもそも高齢者が多いのか?
これらの問いに答えるには、「集計」ではなく「地図上での可視化」が必要不可欠です。
テクニック1 郵便番号を「地図上の点」に変える(ジオコーディング)
分析の第一歩は、DPCデータに含まれる「郵便番号」や「住所」を、地図が理解できる「緯度・経度」に変換する作業、すなわち「ジオコーディング」です。
しかし、ここが最初の、そして最大の落とし穴です。
陥りがちなワナ 無料ツールや不正確なジオコーディング
「ジオコーディングなら無料のWebサービスで十分」と考えるのは危険です。
- セキュリティリスク
患者情報(住所)が含まれるデータを、院外のセキュリティが不明瞭なサービスにアップロードするのは、医療機関として許容しがたいリスクです。
- 精度の問題
日本の住所は「〇〇丁目〇番〇号」と複雑です。特に古い無料ツールでは、「郵便番号」は「その郵便局の場所」や「地域の代表点」を示すに過ぎず、実際の患者さんの位置とは大きくずれることがあります。
- 解像度の不足
学会でも「郵便番号単位では解像度が不足している」と指摘されるように、正確なエリア分析には、より詳細な「町丁・字等」レベルでのマッピングが求められます。
分析の入り口である「位置」がずれていては、その後の戦略まですべてずれてしまいます。
テクニック2 「患者数」と「移動時間」で可視化する
高精度なジオコーディングが完了したら、次はいよいよ地図上での可視化です。
- 患者数のヒートマップ化
どのエリアから何人の患者さんが来ているかを地図上で色分けします。これにより、自院の「勢力圏(商圏)」が直感的に把握できます。
- 移動時間・距離の分析
患者さんの住所から病院までの「移動時間」や「距離」を算出します。これは、特に医療的ケア児や高齢者にとって、受診の大きな障壁(バリア)となります。自院の患者さんが、どれだけの「移動コスト」を払って来院してくれているかを可視化することは、医療アクセス格差の問題を発見する上でも重要です。
テクニック3 これが分析の“肝”! 「地域の統計データ」と掛け合わせる
地図に患者さんの位置をプロットするだけでは、実は「ふーん、この辺から来てるんだ」という感想で終わってしまいます。戦略的な分析とは、「自院のデータ(事実)」と「外部のデータ(比較対象)」を掛け合わせることです。
例「高齢者人口」と掛け合わせて「真のシェア」を暴く
例えば、以下のような分析が可能です。
- Excel集計レベル
A町からの患者数:50人
B町からの患者数:30人
→「A町の方がB町より患者さんが多い。A町との連携は順調だ」 - 地図 × 統計データ分析レベル
A町(高齢者人口 5,000人)からの患者数:50人 → (シェア 1.0%)
B町(高齢者人口 300人)からの患者数:30人 → (シェア 10.0%)
→「A町は高齢者人口の割に患者さんが全く来ていない。競合に負けているか、連携が致命的に不足している最重要課題エリアだ」
このように、『自院のDPCデータ(患者数)』 × 『国勢調査データ(地域の高齢者人口)』 = 『エリア別シェア』を算出し、それを地図で可視化して初めて、本当にアプローチすべきエリアが特定できるのです。
まとめ DPCの郵便番号分析には「正確な地図と統計データ」が不可欠
DPCデータ(郵便番号)という“宝の山”を掘り起こすためには、3つの「正しい道具」が必要です。
- 高精度な「ジオコーディング」技術
(セキュリティが担保され、日本の複雑な住所を正確に緯度・経度に変換できること)
- 詳細で信頼性の高い「背景地図」
(分析の土台となる地図そのものが見やすいこと)
- 比較対象となる豊富な「統計データ」
(国勢調査、高齢化率、さらには推計年収など、分析の切り口を増やすデータ)
これらの道具が揃って初めて、DPCデータは「集計表」から「経営戦略の羅針盤」へと変わります。
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