TAM SAM SOMとは?
計算方法と具体例、パワポでの見せ方も解説

最終更新日:2026/01/21

TAM SAM SOMとは?計算方法と具体例、パワポでの見せ方も解説
目次

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  • 新しい事業の市場規模はどれくらいか?
  • 投資家へのピッチ資料で、狙うべき市場をどう示せばいい?
  • このビジネスは、最大でどれくらいの売上が見込めるのだろう?

新規事業の立ち上げや資金調達の場面で、事業のポテンシャルを客観的な数値で示すことは極めて重要です。その際に強力な武器となるフレームワークが、今回ご紹介する「TAM SAM SOM(タム サム ソム)」です。

この記事を読めば、TAM SAM SOMの基本的な意味から、具体的な計算方法、有名サービスの事例、そして投資家を納得させるパワポでの見せ方まで、すべてを理解できます。

TAM SAM SOMとは?3つの市場規模

まず、TAM SAM SOMがそれぞれ何を意味するのか、その定義と読み方を見ていきましょう。

TAM SAM SOMのそれぞれの意味と読み方

TAM SAM SOMは、事業がターゲットとする市場規模を、3つの段階に分けて定義する考え方です。市場全体から、自社がアプローチできる市場、そして現実に獲得できる市場へと、大きな入れ子構造のように段階的に捉えると分かりやすいでしょう。

  1. TAM (タム)

    Total Addressable Market(理論上対応可能な全体の市場規模)

    意味
    あなたの製品やサービスが属する、市場全体の規模です。地理、技術的などの制約をすべて取り払った場合に、理論上、100%のシェアを獲得した場合の最大の市場規模(売上高)を示します。
    「全世界の飲食市場」「全世界の自動車市場」など。
  2. SAM (サム)

    Serviceable Available Market(サービス提供可能な市場規模)

    意味
    TAMの中から、自社のビジネスモデルや地理的条件、販売戦略などを考慮して、現実にサービスが提供できる市場の規模を指します。
    「東京都内の飲食市場」「日本国内の電気自動車(EV)市場」など。
  3. SOM (ソム)

    Serviceable Obtainable Market(獲得可能な市場規模)

    意味
    SAMの中から、競合の存在や自社の営業力、マーケティング予算などを踏まえ、現実的に獲得を目指せる市場規模、つまり短期的な売上目標に近い数値です。
    「東京都港区内で、今後2年間で獲得を目指す飲食市場のシェア」「日本国内で、今後3年間で獲得を目指すEV市場のシェア」など。

なぜTAM SAM SOM分析が重要なのか?(目的)

このフレームワークは、特にスタートアップ企業や新規事業担当者にとって、以下の点で非常に重要です。

  • 客観的な目標設定

    事業のポテンシャルと現実的な目標を数値で明確にできます。

  • 投資家への説明責任

    投資家は、その事業がどれだけ大きな市場を狙えるか(TAM)、そして現実的にどれだけ稼げるか(SAM, SOM)を厳しく見ています。TAM SAM SOMは、資金調達の際の共通言語とも言えます。

  • 戦略の具体化

    サービス提供可能な市場(SAM)の中から、どの部分を獲得可能な市場(SOM)として設定し、そこにどのようなリソースを投下すべきか、マーケティングや営業戦略を具体的に立てるための土台となります。

TAM SAM SOMの計算方法と算出アプローチ

TAM SAM SOMを算出するには、大きく分けて2つのアプローチがあります。

トップダウンアプローチ

政府統計や調査会社のレポートなど、公に発表されているマクロな市場データから、自社のターゲット市場へと絞り込んでいく方法です。TAMやSAMの算出によく用いられます。

 都内向け高級弁当デリバリーサービスのSAM算出

  1. 日本の飲食市場全体の規模を調査(例:30兆円)
  2. その中から、東京都の市場規模を算出(例:人口比などから10%と仮定 → 3兆円)
  3. さらに、デリバリー市場の割合を算出(例:20%と仮定 → 6,000億円)
  4. 最後に、高級弁当の価格帯(例:2,000円以上)に絞り込む(例:5%と仮定 → 300億円)

SAM = 300億円

ボトムアップアプローチ

顧客単価や顧客数など、現場に近いミクロなデータから市場規模を積み上げていく方法です。SOMや、より精度の高いSAMの算出に適しています。フェルミ推定の考え方に近いアプローチです。

 都内向け高級弁当デリバリーサービスのSOM算出

  1. 顧客単価を設定

    平均的な注文単価(例:3,000円)

  2. 利用頻度を設定

    1顧客あたりの年間利用回数(例:月1回 = 年12回)

  3. 獲得目標顧客数を設定

    営業エリア内で、初年度に獲得を目指す顧客数(例:3,000社)

  4. これらを掛け合わせる

    SOM = 3,000円 × 12回 × 3,000社 = 1億800万円

  • エリアマーケティングのプロの視点

    より精度の高いSAMやSOMを算出するには、データ活用が不可欠です。 例えば、ボトムアップアプローチで「獲得目標顧客数」を設定する際、感覚で決めるのではなく、GIS(地理情報システム)を使って「自社の配達エリア内に、ターゲットとなりうる企業(例:従業員50名以上)が何社存在するのか」を正確に把握することで、算出の根拠が格段に強固になります。
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業界別 TAM SAM SOMの具体例・事例

ここでは、ビジネスモデル別の事例でTAM SAM SOMの考え方を見ていきましょう。(※数値は説明のための仮説です)

個人間(CtoC)のマッチングプラットフォームの事例

個人が持つ空き部屋や空き家を、旅行者などに貸し出すサービスを考えます。

  • TAM

    全世界の旅行市場(ホテル、旅館、民泊など全ての宿泊施設を含む)

  • SAM

    その中で、オンライン予約が可能で、かつ個人所有の宿泊施設を利用する層が存在する市場

  • SOM

    上記の中から、サービス開始後3年間で、主要10カ国の主要都市で獲得を目指す市場シェア

BtoB SaaS(法人向けソフトウェア)の事例

法人向けに、顧客管理を行うクラウド型のソフトウェアを提供するサービスです。

  • TAM

    日本国内の全企業におけるソフトウェア関連の総支出額

  • SAM

    その中で、自社がターゲットとする特定業種(例:小売業)かつ特定規模(例:従業員100名以上)の企業における、顧客管理ソフトウェアへの支出額

  • SOM

    上記の中から、今後2年間で自社の営業チームがアプローチし、獲得を目指す企業数 × 平均契約単価

パワポ・ピッチ資料での見せ方と作り方

TAM SAM SOMを分析したら、それを分かりやすく資料に落とし込む必要があります。特に投資家向けのピッチ資料では、見せ方が非常に重要です。

階層構造で示す基本的な見せ方

TAM SAM SOMの包含関係を視覚的に示すのが一般的です。PowerPointなどを使って、同心円(入れ子状の円)や、階段状の図(ファネル)で表現すると、市場の全体像と自社の狙うポジションが一目で伝わります。

  • 一番外側(大きい)の図形にTAMを記載
  • 中間の図形にSAMを記載
  • 中心(小さい)の図形にSOMを記載
  • それぞれの図形に、算出した市場規模の金額を大きく記載します。

数値の根拠を明確に示す

投資家が最も重視するのは「その数字はどうやって算出したのか?」という算出根拠です。 図の下や次のスライドに、以下のような情報を簡潔に記載しましょう。

  • アプローチ

    トップダウンか、ボトムアップか

  • 計算式

    どのような計算で算出したか(例:顧客数 × 顧客単価)

  • データ出典

    使用した統計データや調査レポートの出典元(例:「〇〇省 〇〇統計」「〇〇総研 〇〇調査レポート」)

作成に使えるツール

  • PowerPoint / Googleスライド

    標準の図形描画機能で、同心円やその他のグラフを簡単に作成できます。

  • Canva

    デザイン性の高いテンプレートが豊富に用意されており、見栄えの良い図を簡単に作成できます。

TAM SAM SOMに関するよくある質問(Q&A)

SAMとSOMの具体的な違いは何ですか?

SAMは「サービス提供可能な市場」、SOMは「獲得可能な市場」です。SAMが「戦う場所(戦場)」の広さを示すのに対し、SOMはその戦場で「最初の戦闘に勝って確保する陣地」の大きさをイメージすると良いでしょう。

SOMは売上予測と同じですか?

似ていますが、厳密には異なります。SOMは「獲得可能な市場規模」であり、事業計画上の短期的な目標値に近いものです。一方、売上予測は、SOMの中から、さらに具体的なマーケティング施策や営業活動計画に基づいて立てられる、より精緻な財務予測です。

フェルミ推定とはどう違いますか?

フェルミ推定は「一見見当もつかないような数値を、論理的な仮説を積み上げて概算する思考法」です。TAM SAM SOMを算出する際の、特にボトムアップアプローチにおいて、顧客数などを推定するためにフェルミ推定の考え方が活用されます。

まとめ TAM SAM SOMで事業の可能性を客観的に示そう

今回は、市場規模を測るフレームワーク「TAM SAM SOM」について網羅的に解説しました。

  • TAM SAM SOMは、市場規模をTAM(最大市場)→SAM(サービス提供可能な市場)→SOM(獲得可能な市場)の3段階で捉える考え方
  • スタートアップの資金調達や、新規事業の戦略立案に不可欠
  • 算出にはトップダウンとボトムアップの2つのアプローチがある
  • 資料にまとめる際は、図解と共に「算出根拠」を明確に示すことが重要

TAM SAM SOMは、事業のポテンシャルを魅力的に語るための強力なストーリーの骨格となります。しかし、その数値の根拠が曖昧では、どんなに大きなTAMを描いても「絵に描いた餅」だと見なされてしまいます。

  • より説得力のあるSAMやSOMを算出したい
  • データに基づいて、自社が狙うべき市場を正確に特定したい

もし貴社がそうお考えなら、ぜひ私たちエリアマーケティングの専門家にご相談ください。貴社の課題レベルに合わせて、最適なソリューションをご提案します。

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